一般国道169号線道路改築(橋梁)工事
伯母谷ループ橋
伯母谷道路の概要
一般国道169号は、奈良市を起点とし、大和平野から紀伊半島を縦断し、和歌山県新宮市に至る総延長約190kmの幹線道路であり、特に奈良県吉野郡南東部地域については、地元経済及び日常生活を支える唯一の幹線道路です。
このうち、奈良県吉野郡川上村伯母谷地内は道路幅員が狭く、急勾配、急カーブの連続で気候条件も厳しく、交通の難所となっており、一日も早い道路整備が期待されています。伯母谷道路の改築計画は奈良県で昭和54年度から検討を始められましたが、紀伊山地の急峻な地形から線形決定が難しく、昭和63年度から学識経験者等による「基本線形検討委員会」を設置し、検討された結果、道路交通の円滑性や安全性といった観点から、約4kmの事業延長でトンネル5箇所と橋梁4箇所によって構成されるカーブ形状の線形が決定されました。
橋梁概要
本橋梁は、山岳地に位置する橋長312mの4径間連続PCディビダーク橋であります。また、平面線形がR160mの急曲線で、地形も平均勾配が約45度と急峻となっています。このため、橋脚高さは28.5mと64mの高橋脚(RC構造)となり、基礎は大口径深礎としています。支承条件を地形、地質条件からP2、P3の2脚固定として、さまざまの方向の地震動を考慮して応答解析を行っています。ただし、耐震設計は、平成7年度の復旧仕様に基づいて、タイプⅠ、Ⅱの時刻歴地震波形に対する弾塑性動的解析を行い、安全性を照査しています。
[伯母谷カーブ橋位置]
[上空から見た伯母谷カーブ橋]
土木学会関西支部 【技術奨励賞】受賞業務に参画
-
本橋は平面線形がR160mの急曲線であり、仮支柱を併用した片持ち張出し架設工法により施工されました。さらに、本工事では橋脚基礎工である深礎杭をライナープレートによる在来工法を用いず、トンネル掘削工法であるNATM工法にて施工するなど設計当時としては国内初となる工法を採用されました。
本橋は平成15年1月に供用を開始され、旧道に比べ安全性の向上に加えて、時間短縮の効果も大きく吉野地域の活性化に寄与しています。
本事業は、厳しい気象・地形条件の中、橋脚基礎工等に新技術を用いてトンネルと橋梁の複合ループ式道路を実現した技術力、及び地域の利便性・活性化に貢献した点が評価されました。 -
上部工形式
種別:プレストレスコンクリート道路橋
形式:4径間連続ラーメン箱桁橋
工法:カンチレバー工法
(定着部:ディビダーク工法)
下部工形式
橋台:鉄筋コンクリート造逆T式橋台(深礎杭)
橋脚:鉄筋コンクリート造中空式橋脚
(大口径深礎杭:NATM工法)
[設計図]
現況写真
[橋脚躯体施工状況① '00/10/26 撮影]
[橋脚躯体施工状況②]
[橋脚躯体施工状況③]
[深礎坑内ロックボルト削孔状況]
[A1橋台トンネル坑口状況]
[橋脚躯体施工状況① '01/04/10 撮影]
[橋脚躯体施工状況② '01/04/10 撮影]
[架設状況① '01/07/26 撮影]
[架設状況② '01/10/24 撮影]
[架設状況③ '01/10/31 撮影]
[架設状況④ '01/11/28 撮影]
[架設状況⑤ '01/12/25 撮影]
[架設状況⑥ '01/12/25 撮影]